「顧客対応の質を上げたい」「社内の問い合わせ対応に追われ、コア業務に集中できない」そんな課題を抱える企業にはチャットボット導入が有効です。しかし、導入コストが高く、負担に感じる企業も少なくありません。
本記事では、IT導入補助金を活用してチャットボットを賢く導入する方法を具体的に解説します。
2025年度の情報に基づき、IT導入補助金対象者から補助金申請フロー、成功のポイントまでをご紹介。コストを抑えつつ業務効率化を目指す企業は、ビジネスを加速させる一助として、ぜひご活用ください。
なお、補助金活用やチャットボット選定でお悩みなら、当社「AiPHA(アイファ)」が適切なご提案から申請サポートまで一貫してご支援します。
チャットボット導入に活用できる「IT導入補助金」とは?
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツール導入時に経費の一部補助を受けられる制度です。チャットボットもIT導入補助金の対象に含まれており、業務効率化や顧客対応の自動化を目的とした導入に活用できます。
チャットボット導入に適用される通常枠では、ソフトウェア購入費やクラウド利用費、導入関連費などが補助対象です。補助率は1/2以内(一定条件を満たせば最大2/3)で、5万円から最大150万円未満まで支援されます。※情報は2025年5月時点の「IT導入補助金2025 公募要領 (通常枠)」を参考にしています。
申請には、IT導入支援事業者と連携した計画の策定や、GビズIDの取得、最低賃金の遵守などの条件を満たす必要があります。コスト面の負担を抑えながら、効果的にチャットボットを導入したい事業者にとって、有力な制度といえるでしょう。
IT導入補助金でチャットボットを導入するための要件
IT導入補助金でチャットボットを導入するには、事業者、ITツール、経費に関する要件を満たす必要があります。
ここではIT導入補助金2025(通常枠)の情報を中心に解説します。
補助対象となる事業者の要件
IT導入補助金の対象となる事業者は、日本国内で事業を営む中小企業・小規模事業者等です。
中小企業・小規模事業者の定義は、業種毎に資本金または従業員数で定義されています。たとえば製造業(ゴム製品除く)等は資本金3億円以下または従業員300人以下の企業。小売業は資本金5千万円以下または従業員50人以下が中小企業とされています。ちなみに、個人事業主も対象です。
ただし、みなし大企業や過去の不正事業者、風俗営業等は対象外となる場合があります。申請要件として、GビズIDプライムアカウントの取得、「SECURITY ACTION」の宣言、労働生産性向上計画の策定と実行などが求められます(各要件の詳細は「IT導入補助金2025 公募要領 (通常枠)」をご確認ください)。
補助対象となるITツール
IT導入補助金2025(通常枠)で使えるツールは、事前に「IT導入支援事業者」が登録しているものに限られます。補助の対象となるには、そのソフトウェアが「顧客対応」「会計」「人事」など、決められた業務のいずれかに対応している必要があるため、注意が必要です。
チャットボットは、主に「顧客対応」や「販売サポート」に役立つツールとして、IT導入補助金の対象になることが多いです。導入を考えているチャットボットが対象かどうかは、IT導入補助金の公式サイトで検索するか、支援事業者に確認すると良いでしょう。
補助対象となる経費と補助率・補助上限額
IT導入補助金2025(通常枠)でチャットボットを導入する場合の主な対象経費は、以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
ソフトウェア購入費 | チャットボット本体の購入にかかる費用 |
クラウド利用料 | クラウド型チャットボットの利用料金(※最大2年分まで補助対象) |
導入コンサルティング | ツールの選定や運用方針などに関する専門家の支援費用 |
導入設定・マニュアル作成・研修 | 初期設定や操作マニュアルの作成、従業員向けの研修などの費用 |
保守サポート費 | 導入後の保守・サポートに関する費用(※一部費目には補助上限あり) |
上記経費が全額補助になるわけではなく、補助率は原則として対象経費の1/2以内です。
また、チャットボット導入に対する補助額は、ツールの対応機能(プロセス)の数によって異なります。
たとえば、チャットボットが「顧客対応・販売支援」など1つ以上の業務機能に対応している場合、補助額は5万円以上150万円未満で、補助率は原則1/2以内です(ただし、一定の賃上げ目標を達成すれば、補助率は最大2/3まで引き上げられます)。
さらに、チャットボットが複数の業務に対応し、4つ以上のプロセスに該当する場合は、補助額が150万円以上450万円以下まで拡大される可能性もあります。
IT導入補助金を活用したチャットボット導入までの7ステップ
IT導入補助金を活用したチャットボット導入は、以下の手順で導入できます。
以下、詳しく解説します。
ステップ1:事前準備と情報収集
IT導入補助金を受けるには、自社の課題を明確化し、チャットボット導入目的(例:問い合わせ工数〇%削減)を設定する必要があります。並行して、IT導入補助金公式サイトの公募要領を確認し、制度の概要や申請スケジュールを把握しておくことも重要です。
また、申請必須の「GビズIDプライム」アカウント未取得の場合は、手続きを早めに完了させましょう。取得には数週間を要する場合があるため注意が必要です。
チャットボットの導入目的を設定する際、他社の導入事例などが参考になります。チャットボット導入での効果や導入事例が知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ステップ2:IT導入支援事業者・導入ツールの選定
補助金申請は採択されたIT導入支援事業者と共同で行う必要があるため、事業者選定は極めて重要です。自社の課題に合ったチャットボット導入を支援でき、申請サポート実績が豊富な支援事業者を選びましょう。
なお、補助金申請やチャットボット選定でお悩みなら、当社「AiPHA(アイファ)」が適切なご提案から申請サポートまで一貫してご支援します。
ステップ3:交付申請
導入ITツールとIT導入支援事業者が決まったら、支援事業者と共同で事業計画を作成し、IT導入支援事業者から「申請マイページ」へ招待を受けた後に、オンラインで交付申請しましょう。
申請マイページでは企業情報、事業計画(導入ITツール、期待効果等)、宣誓事項等を入力・確認します。必要書類は法人なら履歴事項全部証明書や法人税納税証明書、個人事業主なら運転免許証や所得税納税証明書等です。
IT導入支援者の支援のもと、不備なく作成しましょう。
ステップ4:審査・交付決定
申請内容に基づき事務局が審査を開始します。期間は公募回や状況で変動しますが、通常1~2カ月程度です。採択されると「交付決定通知」が申請マイページに届きます。
注意点ですが、交付決定通知受領まではチャットボット契約・支払いはしないでください。交付決定前の経費は補助対象外となるため注意が必要です。
ステップ5:チャットボットの契約・導入・支払い
交付決定通知を受け取ったら、IT導入支援事業者とチャットボットの契約を進めて導入作業を開始し、代金を支払います。
契約書や請求書、領収書(または振込明細)などの関連書類は、後の事業実績報告に必須のため、確実に保管してください。また、支払い方法も原則、銀行振込またはクレジットカード一括払いと定められているため、事前に確認が必要です。
ステップ6:事業実績報告
チャットボット導入と支払いが完了したら、ITツールが事業で活用されている証拠書類(契約書、請求書、領収書、利用画面キャプチャ等)を添え、事務局へ事業実績報告を行います。
事業実績の報告は、申請マイページを通じて、IT導入支援事業者の支援のもとで進められます。報告期限(通常、交付決定日から6カ月間程度)が設けられているため、遅延しないように注意し、期限内に正確な報告を完了させましょう。
ステップ7:補助金交付と効果報告
事業実績報告が承認されると補助金額が確定し、補助金が交付(指定口座へ振込)されます。ちなみに補助金は原則後払いです。
その後も、導入したチャットボットの活用状況や導入効果(生産性向上等)について、定められた期間(通常3年間)、事務局へ効果報告を行う必要があります。この報告を怠ると補助金返還を求められる場合もあるため、誠実に対応しましょう。
なお、当社「AiPHA(アイファ)」では、導入ツール選定や補助金申請支援、効果報告までしっかりとサポートいたします。お気軽にご相談ください。
補助金を活用したチャットボット導入を成功させる3つのポイント
IT導入補助金を活用しチャットボット導入を成功させるには、主に以下3つのポイントに注意する必要があります。
以下、詳しく解説します。
補助金ありきの導入計画はしない
IT導入補助金を活用するうえで最も重要なのは「補助金がもらえるから導入する」のではなく「事業課題解決のためにチャットボットが必要で、その費用の一部を補助金でまかなう」という正しい目的意識です。
補助金は手段であり、目的ではありません。チャットボット導入でどの業務が効率化され、どんな成果(コスト削減、売上向上、顧客満足度向上等)が期待できるかを明確にし、事業への貢献度を見据えた計画を立てましょう。
以下の記事では、チャットボット導入で失敗しないためのポイントなどをまとめています。ぜひ参考にしてください。

IT導入支援事業者は慎重に選定する
補助金申請を進めるうえで、IT導入支援事業者は欠かせないパートナーです。IT導入補助金2025では、申請者単独での申請はできないため、チャットボット導入の成否を左右するといっても過言ではありません。
申請手続きに詳しく、補助金の採択実績が豊富な事業者であれば、スムーズな進行が期待できます。さらに、導入後の運用まで見据えて、どこまで伴走してくれるかといった「サポート体制」や「専門知識の深さ」も重要な判断材料です。
複数の事業者を比較し、自社の課題や目的にしっかり向き合ってくれるかを見極めましょう。
補助金の特性を理解する
IT導入補助金には特有のルールがあり、申請前にしっかり理解しておくことが重要です。
たとえば、補助金は原則「後払い」であり、交付決定前に契約・支払いを行った経費は対象外となります。また、導入後には効果報告の提出義務も課せられます。
こうした制度の仕組みを知らずに進めてしまうと、補助金が受け取れないといったトラブルに発展する可能性もあるため、制度の流れと条件を事前に把握しておきましょう。
IT導入補助金2025を最大限に活用してチャットボット導入を成功させよう!
IT導入補助金は、チャットボット導入の費用負担を軽減し、中小企業・小規模事業者のDX化を力強く後押しする制度です。本記事で解説した要件や申請フロー、成功のポイントを踏まえ、計画的に準備を進めることで、補助金を最大限に活用したチャットボット導入が実現できます。
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