チャットボットを導入したものの思うような効率化が実現せず、かえって手間が増えてしまったと頭を抱えていないでしょうか。あるいは、検討はしているものの、評判が気になり、導入を迷われている方もいるでしょう。
現在のチャットボットには、あらかじめ設定した質問と回答のパターンで対応するシナリオベースのチャットボットと、AIを搭載して柔軟な対話ができるチャットボットの2種類が存在します。
目的や利用シーンに応じて適切にチャットボットを構築・運用すれば、社内の課題解決や効率化を促進します。
本記事では、チャットボットが役に立たない理由と、適切にチャットボットを役立てる方法について解説します。
チャットボットをうまく利用したい方は、ぜひ最後まで読み進めていただければと思います。
チャットボットが役に立たないといわれる理由5選
チャットボットは適切に導入すれば業務の効率改善などに役立ちますが、課題もあるAIです。
チャットボットが役に立たないといわれるのには、主に以下の理由があります。
- 回答の精度と理解力の限界
- 問題解決に至らないケースが多い
- 費用対効果が合わない
- 運用体制が整っていない
- ユーザー体験(UX)の質が低い
チャットボットの弱点を知らないまま導入すると、サービスの質や、費用対効果などのトラブルを引き起こす可能性があります。
特にシナリオベースのチャットボットは、複雑な質問を解決する言語処理が難しいのが現状です。また、ユーザーのニーズに沿った運用体制の構築を継続的に行う必要があります。
チャットボットが役に立たないといわれる5つの理由について、それぞれ詳しく解説します。
⒈回答の精度と理解力に限界がある
シナリオベースのチャットボットは、事前に想定される質問と回答のパターンを用意しますが、想定外の質問が来た場合は対応できないというデメリットがあります。
AI搭載のチャットボットの場合は、より柔軟な対応が可能ですが、それでも複雑な質問の理解には限界があります。
特に専門的な知識を要する質問や、文脈を踏まえた判断が必要な場合は、AIの学習が追いつかず、ユーザーが望む的確な回答ができないことがあります。
このような限界を認識し、複雑な問い合わせはカスタマーサービスの有人対応に切り替えるなど、事前の役割分担を決めることが大切です。
2.ユーザの問題解決に至らないケースが多い
チャットボットは質問に答えることはできても、それが必ずしもユーザーの問題解決につながらないケースが多く存在します。
シナリオベースのチャットボットは予定された回答しか提供できないため、問題の本質を理解できず、的外れな解決策を示すことがあります。一方、AI搭載のチャットボットは理解できない質問にも無理に答えようとする傾向があります。
ニーズを汲み取ろうとした結果、何度も質問を繰り返しても意図した回答が得られず、ユーザーの不満やクレームにつながってしまいます。
ユーザーに合わせた細かい対応が必要な場合は、人間のサポート力が不可欠です。
3.費用対効果が合わない
チャットボットの導入には、初期費用だけでなく、運用・保守費用もかかります。
シナリオベースのチャットボットは初期構築コストが低めですが、シナリオの追加・更新には継続的な人的リソースが必要です。
それに対し、AI搭載のチャットボットはより柔軟にユーザーの要望に応えられるものの、初期投資がシナリオベースよりも高額になる傾向があります。導入後もAIの学習データの整備や精度向上のための調整にも費用がかかります。
また、どちらのタイプも24時間体制でのサポートを行う場合、さらに運用費がかさみます。
対費用効果が見合わず、赤字が続けば、事業撤退につながる可能性も否めません。
4.運用体制が整っていない
チャットボットは導入して終わりではなく、常に最新バージョンのアップデートや、ユーザーのニーズに合わせた改善を行う必要があります。
シナリオベースのチャットボットは頻繁なシナリオ更新が必要であり、AI搭載のチャットボットは新たな学習データの追加や精度向上のための調整が欠かせません。
そのため、継続的なメンテナンスを担う技術者や、ユーザーを分析してチャットボットの改善点を見つけるマーケターの存在が不可欠です。
チャットボットの開発を外部に依頼する場合は、導入後の運用もサポートしてくれる企業・サービスを利用すると良いでしょう。
運用体制が整っていない状態で、導入するとチャットボットの精度が一向に改善されません。
5.ユーザー体験(UX)の質が低い
チャットボットの操作性や回答の精度が低いとユーザー体験(UX)が下がり、不満やクレームに発展する可能性があります。
質問の意図を正確に理解できないことによる的外れな回答や、同じ質問の繰り返しなどはユーザーにストレスを与えます。
とくに製品やサービスのターゲット層が高齢者や、ITリテラシーの低い層の場合、使い方がわからず、チャットボットの機能を十分に活かせません。
これらのUX問題を解決するには、使いやすいインターフェースの設計はもちろん、チャットボットが対応できる範囲を明確にすることが重要です。
ユーザーに合わせた柔軟な対応が求められる場合は、必要に応じて迅速に有人対応に切り替えられる仕組みを整えることも必要です。
チャットボットがいらないケース
チャットボットがいらないケース | 詳細 |
---|---|
高度なカスタマーサポートが必要 | 複雑な問題や専門的な知識が求められる場合、チャットボットでは対応が難しい |
質問や悩みが多岐に渡る | ユーザーの質問が多岐にわたり、予測が難しい場合、チャットボットの回答精度が低下する |
正確な回答が求められる業務が多い | 医療、金融など、誤った情報が重大な結果を招く可能性がある場合、チャットボットの利用はリスクが高い |
顧客層がチャットボットの利用に不慣れ | 高齢者層など、デジタルツールに不慣れな顧客が多い場合、チャットボットは利用されない可能性がある |
運用コストが負担になる | 導入・運用コストが予算に見合わない場合、チャットボットの導入は費用対効果が低い |
高度なサポートが必要な場合や、問い合わせ内容が多岐にわたる場合は、チャットボットの導入が適さない場合があります。
AI搭載のチャットボットであれば、データを学習させることで、ある程度は柔軟な回答が可能です。しかし、ユーザーごとに寄り添った提案が必要な場合や複雑なやり取りが必要なケースでは、十分な回答ができないこともあります。
具体的には、カスタマイズが必要な商品や、感情を汲み取る対応が求められるサービスにチャットボットでの対応は向いていません。
チャットボットを導入する際は、AIでも代替が効くのかをよく検討し、運用コストを回収できるかも踏まえて、導入しましょう。
チャットボットが役立つケース
チャットボットが役立つケース | 詳細 |
---|---|
問い合わせ件数が多く定型的な質問が多い | 想定外の質問が少なければチャットボットでユーザーの疑問を解決できる |
24時間365日の対応が必要 | 人間が寝ている間も自動で対応できる |
チャットボットとカスタマーサービスの役割分担が明確 | 簡単な問い合わせはチャットボットが行い、複雑な対応はカスタマーセンターが担う |
ユーザーデータを収集・分析したい場合 | ユーザーの質問内容を分析し、サービスの向上や回答を最適化させる |
AI搭載のチャットボットはユーザーとの対話を通じて、システム内に氏名、連絡先、購買履歴、問い合わせ内容など、様々なデータを収集します。
ユーザーの問い合わせの属性を集計し、ニーズを汲み取ることで、新たなサービスや商品開発に貢献できるでしょう。
チャットボットは対応の効率化だけでなく、データの蓄積や分析に基づいたサービスの向上、顧客ニーズの最適化につながります。
チャットボットの導入で失敗しないためのポイント
チャットボットの導入で失敗しないためには、顧客ニーズや運用体制の確立が大切です。また、導入費用の回収期間や利益目標を設定するだけでなく、撤退ラインも決めておきましょう。
- ビジネス目標と顧客ニーズの整合性を確立する
- 運用体制が備わっているか確認する
- 費用対効果と撤退ラインの設定
チャットボットを挿入する際の失敗しないポイントを3つ解説します。
ビジネス目標と顧客ニーズの整合性を確立する
チャットボットの導入には、企業目標と顧客ニーズの確立が不可欠です。
企業目標としては主にコスト削減や業務負担軽減が考えられます。一方、顧客ニーズは知りたい情報をすぐに得られる、疑問をスムーズに解決できるといった点が挙げられます。
これらの企業目標と顧客ニーズが一致する部分を見出し、整合性を図ることで、チャットボットは効果的に機能し、業務効率化とニーズ充足を最大化できるのです。
また、ビジネス目標とニーズの整合性を図る手段として、PDCAサイクルを回すことが大切です。
ステップ | 内容 | 目的 |
---|---|---|
P(計画) | ニーズ分析、コスト削減、業務負担減、顧客満足度向上、問い合わせログ分析 | 顧客が知りたいことをすぐ知れる、疑問を解決できる仕組みを構築する |
Do(実行) | チャットボットの設定、学習、テスト運用などを行う | 顧客ニーズや、分析結果を基にシステムを構築する |
C(評価) | 顧客の反応、利用状況、解決率、コスト削減効果などを測定・分析する | チャットボットの効果を把握し、改善点を見つける |
A(改善) | 評価結果に基づき、設定の見直し、顧客ニーズを分析し、学習データの追加、機能改善などを行う | チャットボットをより効果的にし、企業と顧客の整合性を確立させる |
このPDCAサイクルを継続的に実施することで、企業と顧客ニーズの整合性を確立し、チャットボットの性能を最大化することができます。市場分析から始まり、システム構築、効果測定、そして改善へと循環させることが重要です。
運用体制が備わっているか確認する
チャットボットは導入後に、定期的なメンテナンスやサービスの改善が必要です。チャットボットに関する知識や技術を持った作業者が不足したり、退職したりすると運用の継続が困難になる可能性があります。
社内でチャットボットの運用体制を整えるのが難しい場合は、導入後のサポートまで対応している会社にチャットボットの開発を依頼すると良いでしょう。
チャットボットを運用するうえで十分な人員を確保し、予期せぬトラブルに対しても柔軟に対応できる運用体制が顧客の満足度の向上ににつながります。
費用対効果と撤退ラインを設定する
チャットボット導入は業務効率化や顧客満足度向上を見据えた投資であり、費用対効果を考えた運用が必要です。
チャットボットの導入初期コストの回収だけに注目してしまうと、継続的に発生する運用コストを軽視してしまうことがあります。
その結果、表面上は初期投資を回収できたように見えても、実際には運用コストが継続的に赤字を生み出し続け、長期的には大きな損失につながる可能性があります。
チャットボットの導入および運用にかかる費用と、導入によって削減できるコストのバランスを考慮して計画を立てることが重要です。
項目 | 内容 | 目的 |
---|---|---|
費用対効果の算出 | 導入コスト、運用コスト、削減できた人件費、売上増加などを数値化し比較 | 投資に見合う効果が出ているか判断 |
目標回収期間の設定 | 導入コストをいつまでに回収するか、具体的な期間を設定 | 投資回収の目安を明確化 |
利益目標の設定 | 導入後にどれくらいの利益を上げるか、具体的な目標を設定 | 投資による収益性を評価 |
撤退ラインの設定 | 費用対効果が目標を下回った場合、いつ撤退するか明確な基準を設定 | 赤字拡大を防ぎ、損失を最小限に抑える |
損失を生み出さないためにも、事前に撤退ラインを設定しましょう。
役に立たないチャットボットでお悩みなら「AiPHA」にご相談ください
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「AiPHA」では、お客様のニーズに合わせたカスタマイズ性の高い、AI搭載チャットボットの開発を提案します。
チャットボット導入後も継続的に、お客様のニーズや課題をヒアリングし、最適なAIシステムや改善策のご提案・運用のサポートをさせていただきます。
まずはご相談だけでもかまいません。チャットボットの導入を検討されているお客様は、以下よりお気軽にお問い合わせください。