チャットボットの開発方法3選!特徴や選び方、開発ステップまで解説

「チャットボット導入を検討しているけれど、自社開発・SaaSツール・外注のどれを選べば良いんだろう?」

「費用対効果を明確にして稟議を通したいけれど、具体的な数字がわからない」

こうした悩みを抱える情報システム担当者やカスタマーサポート責任者の方は多いのではないでしょうか。

実際、世界のチャットボット市場規模は2024年の70億ドルから2029年には208億1,000万ドルにまで成長すると予測されており、24時間対応や人手不足解消の切り札として注目が集まっています。

しかし、適切な開発方法を選ばなければ、期待した効果は得られません。

今回は以下の内容について、AI開発のプロ目線で詳しく解説していきます。

本記事を参考にして、ぜひ自社に最適なチャットボット開発の第一歩を踏み出してください。

また、専門家と共に現状のボトルネックを洗い出し、最適なチャットボット導入プランを進めませんか?AiPHAではヒアリングを通じて、必要な要件と費用対効果の概算を無料で整理するサポートを行っています。

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目次

チャットボットの開発方法3選!

チャットボット開発には大きく分けて3つのアプローチがあり、それぞれ費用・期間・必要なスキルが大きく異なります。

まずは各手法の概要を把握して、自社のリソースや目的に最適な方法を見極めることが重要です。

自社開発|自由度は高いが技術と時間が必要

自社開発は、PythonやJavaScriptなどのプログラミング言語を使って一から構築する方法です。

最大のメリットは完全にカスタマイズできる自由度の高さにあります。

既存の社内システムとの深い連携や、業界特有の複雑な業務フローにも柔軟に対応できるのが強みです。

ChatGPT APIやClaude APIなどのテキスト生成AIを活用すれば、まるで人間と話しているような自然な対話も実現できます。

ただし、エンジニアリングスキルと相当な開発時間が必要になります。

スクロールできます
項目詳細
初期費用人件費のみ(月額50-200万円×開発期間)
開発期間3-12カ月
必要スキルPython/JavaScript、API連携、AI知識
自由度★★★★★
運用負荷高い(専任エンジニア必要)

とくに、社内に専門エンジニアがいない場合は現実的ではありません。

一方で、独自性の高い機能や他社にない差別化要素を求める企業には最適な選択肢といえるでしょう。

SaaSツール|導入が簡単でスピード重視

SaaS(Software as a Service:インターネット経由で利用できるソフトウェア)ツールは、ノーコード・ローコードで操作できるチャットボット作成サービスです。

専門知識がなくても、直感的に操作ができるGUIの管理画面で質問と回答を登録するだけで短期間での導入が可能です。

代表的なサービスには「ChatPlus」「PKSHA Chatbot」「MOBI BOT」などがあり、月額1万円程度から利用できます。

最大の利点は導入の手軽さとスピードです。

設定から稼働まで最短1週間程度で完了し、初期投資を大幅に抑えられます。

また、多くのサービスで生成AI機能が標準搭載されており、自然な対話が可能になっています。

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項目詳細
初期費用0-30万円
月額費用1-20万円
開発期間1-12週間
必要スキル基本的なPC操作のみ
自由度★★★☆☆
運用負荷低い(サポート充実)

ただし、機能に制限があり、複雑な業務フローには対応できない場合があります。

既存システムとの連携も、提供されるAPIの範囲内に限定されるため、事前の確認が必要です。

外注開発|プロに任せてリスクと手間を最小限に

開発会社に依頼する外注開発は、設計から運用まで一貫してプロに任せられる方法です。

専門知識を持つエンジニアチームが要件定義から開発、テスト、保守まで全工程を担当するため、高品質なシステムを効率的に構築できます。

とくに、業務特化型のチャットボットや複雑なシステム連携が必要な場合に威力を発揮します。

費用は他の手法より高くなりますが、開発リスクと社内の工数負担を最小限に抑えられるメリットがあります。

また、導入後のサポートや継続的な改善提案も期待できるため、長期的な運用を考えると費用対効果は高いといえるでしょう。

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項目詳細
初期費用20-100万円
月額費用10-50万円
開発期間1-6カ月
必要スキル要件整理とコミュニケーション
自由度★★★★☆
運用負荷中程度(保守契約による)

成功のカギは、実績豊富で自社の業界知識を持つ開発会社を選ぶことです。

過去の類似案件や導入後のサポート体制について、事前にしっかりと確認しておきましょう。

AiPHAでも、専門コンサルタントが貴社の業務課題をヒアリングし、目的に沿ったチャットボット活用プランをご提案できます。まずは無料相談で、導入前の疑問や不安を解消してみてはいかがでしょうか。

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【目的別】チャットボット開発方法の選び方

開発方法を選ぶ際は、自社の目的と現在のリソースを客観的に評価することが重要です。

以下の判断基準を参考にして、最適なアプローチを見極めましょう。

コスト重視・短期導入希望の場合

月額予算が30万円以下で、3カ月以内の導入を希望する場合はSaaSツールが最適です。

とくに、FAQ対応や簡単な問い合わせ自動化から始めたい企業に適しています。

独自性・高機能を求める場合

他社にない独自機能や、複雑な社内システムとの連携が必要な場合は自社開発または外注開発を検討しましょう。

社内にエンジニアがいれば自社開発、いなければ外注開発が現実的です。

リスク最小化・品質重視の場合

リスクを最小限に抑えて確実に成果を出したい場合は、外注開発が最も安全な選択肢です。

とくに、稟議を通す際の説明責任が重要な大企業には適しています。

判断に迷った場合は、まずSaaSツールでPoC(概念実証:小規模なお試し導入のこと)を実施し、効果を確認してから本格的な開発に移行する段階的アプローチも有効です。

チャットボット開発を始める前に考えるべき3つのこと

開発に着手する前に、「目的の明確化」「対応範囲の設定」「成果測定方法の決定」という3つの準備を徹底することが成功のカギとなります。

これらを曖昧にしたまま開発を進めると、期待した効果が得られない結果に終わってしまいます。

チャットボット開発を始める前のチェックポイント

目的とKPIを数値で決めておこう

チャットボット導入の効果を客観的に評価するためには、数値で測定可能なKPI(重要業績評価指標)の設定が不可欠です。

たとえば、「業務効率化をする」のような抽象的な目標ではなく、「月間問い合わせ件数の70%を自動化」「平均応答時間を30%短縮」といった具体的な数値目標を設定しましょう。

効果的なKPI設定のポイントは、現状の定量データを正確に把握することです。

たとえば、現在の月間問い合わせ件数、1件あたりの平均対応時間、オペレーターの時給などを調査し、削減可能な人件費を算出します。

「月間3,000件の問い合わせのうち1,800件を自動化し、オペレーター工数240時間を削減、人件費として月額60万円をセーブする」といった具体的な試算ができれば、稟議も通りやすくなります。

導入前の基準値をしっかりと記録し、導入後3カ月・6カ月・1年のタイミングで効果を検証する仕組みを作っておきましょう。

チャットボットの対応範囲を具体的に決める

すべての問い合わせをチャットボットで対応しようとすると、開発が複雑になりリスクが高まります。

まずは頻出する定型的な質問や、社内の繰り返し業務に絞って対象範囲を限定することが重要です。

過去の問い合わせログを分析し、「商品の使い方」「配送状況の確認」「パスワードリセット」など、パターン化できる質問から優先的に自動化を検討しましょう。

実際の範囲設定では、「全問い合わせの30%にあたる上位10カテゴリを対象とする」といった具体的な基準を設けることが効果的です。

また、チャットボットで解決できない複雑な問い合わせについては、有人対応へのスムーズな引き継ぎルートを設計しておくことも重要です。

対応範囲を段階的に拡張していく計画も立てておくと、継続的な改善がスムーズに進められるでしょう。

成果測定のタイミングと評価基準を設定する

チャットボットの効果を正しく評価するためには、測定タイミングと評価基準を事前に決めておくことが必要です。

導入直後は利用者が慣れておらず、本来の効果が発揮されない可能性があるためです。

測定タイミングの一例として、導入から1カ月後に初回評価、3カ月後に中間評価、6カ月後に本格評価を実施し、評価基準としては、定量指標と定性指標の両方を設定しましょう。

定量指標には「自動解決率」「平均応答時間」「月間問い合わせ削減数」「コスト削減額」などがあります。

定性指標には「顧客満足度スコア」「オペレーターの業務負荷感」「エラー・苦情の内容分析」などが含まれます。

重要なのは、これらの指標に対して合格ラインと改善が必要なラインを明確に設定することです。

たとえば、「自動解決率60%以上で合格、40%未満なら抜本的な見直し」といった基準を決めておけば、客観的な判断が可能になります。

また、測定結果を基にした改善計画も併せて策定し、PDCAサイクルを回す体制を整えておきましょう。

チャットボット開発の5ステップ|設計から運用までの流れ

チャットボット開発を成功させるためには、体系的なプロセスに沿って進めることが重要です。

以下の5ステップに分けて開発を進めることで、品質の高いシステムを効率的に構築できます。

ステップ1|要件定義

要件定義は、チャットボットの仕様書を作成する最も重要な工程です。ここで方向性を間違えると、後の工程ですべてやり直しになる可能性があります。

まず、チャットボットに任せる業務の範囲を具体的に決定します。「商品に関する基本的な質問」「注文状況の確認」「技術サポートの1次対応」など、対象となる業務を明確にリストアップしましょう。

次に、必要な機能要件を整理します。

たとえば、「顧客データベースとの連携」「多言語対応」「音声入力機能」「レポート機能」など、実現したい機能を優先度とともに記載します。技術要件では、「同時接続数」「応答速度」「セキュリティレベル」「システム連携」などの非機能要件も含めて検討することが重要です。

RAG(検索拡張生成:既存文書から関連情報を検索して回答を生成する技術)を活用する場合は、連携するデータソースや検索精度の要件も明確にしておきましょう。要件定義書には、期待する効果とその測定方法も併せて記載し、プロジェクト関係者全員で合意形成することが成功のカギとなります。

ステップ2|会話設計

会話設計は、ユーザーとチャットボットのやり取りを設計する重要な工程です。

まず、過去の問い合わせデータやFAQから代表的な質問パターンを抽出し、カテゴリ別に整理します。その上で、各質問に対する最適な回答フローをツリー図やフローチャートで可視化します。

効果的な会話設計のポイントは、ユーザーが迷わずに目的を達成できる分岐構造を作ることです。「はい/いいえ」で答えられる明確な選択肢を提示し、曖昧な表現は避けましょう。

また、途中でユーザーが離脱しそうな場面では、「他にお困りのことはありませんか?」といった再質問ロジックを組み込むことで、満足度を向上させられます。会話の中で情報を収集する場合は、必要最小限の項目に絞り、入力の手間を最小化することも重要です。

たとえば、「お名前」「電話番号」「問い合わせ内容」のうち、本当に必要な項目だけを選択し、段階的に情報を収集する設計にしましょう。

さらに、エラーハンドリング(想定外の入力への対応)や、有人対応へのスムーズなエスカレーション設計も忘れずに盛り込むことが大切です。

ステップ3|開発・設定

開発・設定フェーズでは、ステップ2で作成した会話フローを実際のシステムに実装します。

自社開発の場合は、Pythonを使ってLLM(大規模言語モデル)のAPIと連携し、自然言語処理機能を構築します。

SaaSツールを利用する場合は、提供されるGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース:マウスで操作できる画面)を使って質問と回答を登録し、会話フローを設定します。

どちらの場合も、最初はMVP(最小実用製品:最低限の機能で動作するバージョン)から始めることをおすすめします。

基本的な質問対応ができる状態を早期に作り上げ、段階的に機能を追加していく方が効率的です。

社内システムとの連携が必要な場合は、API設計も並行して進めます。顧客管理システム、在庫管理システム、決済システムなど、連携対象のシステムとのデータ交換方式を決定し、セキュリティ要件も満たす実装を行います。

また、管理画面の設計も重要な要素です。運用担当者が日常的に使用する画面のため、直感的で使いやすいインターフェースを心がけましょう。

ステップ4|テスト

テスト工程では、開発したチャットボットが期待通りに動作するかを多角的に検証します。

まず、社内メンバーによる内部テストを実施し、基本的な動作確認と主要なバグの洗い出しを行います。

機能テストでは、設計した会話フローが正常に動作するか、想定される質問パターンに適切に回答できるかを確認します。とくに、誤解を招きやすい表現や、意図しない回答が生成されていないかを重点的にチェックしましょう。

性能テストでは、応答速度や同時接続数に関する要件を満たしているかを測定します。

想定される利用者数でのストレステストも実施し、システムの安定性を確認することが重要です。

次に、実際のユーザーを対象としたユーザビリティテストを実施します。

少数の顧客や社員にモニターとして参加してもらい、実際の使用感や改善点をフィードバックしてもらいましょう。この段階で得られる意見は、本格運用開始後の満足度向上に直結するため、積極的に改善に反映させることが大切です。

解決率、応答速度、シナリオ離脱率などの指標を測定し、設定した品質基準をクリアしたら本番環境への移行を検討します。

ステップ5|運用・改善

チャットボットは導入して終わりではなく、継続的な運用と改善が成功のカギとなります。

まず、日常的な運用体制を確立しましょう。会話ログの定期的な分析、FAQの追加・更新、システムの監視など、必要な作業を明確にして担当者を決めます。

重要なのは、実際のユーザーとのやり取りデータを分析し、改善点を特定することです。「よくある質問だが回答できていない」「特定の表現で誤解が生じている」「特定の時間帯に応答が遅くなる」など、データから課題を発見し、優先度をつけて改善していきます。

また、ビジネス環境の変化に合わせたアップデートも欠かせません。

新商品の発売、サービス内容の変更、法規制の改正など、外部要因による情報更新を適切に反映させる仕組みを構築しておきましょう。

このように、データとフィードバックに基づいた継続的な改善サイクルを回すことで、チャットボットの価値を長期的に向上させられます。

チャットボット開発を成功に導くには?次のステップと相談先

ここまでで開発方法の選択肢、注意点、具体的なステップを理解していただけたかと思います。

次は実際のアクションに移る段階ですが、まずは小規模なPoC(概念実証)から始めることをおすすめします。いきなり本格的なシステムを構築するのではなく、限定的な範囲で効果を検証し、確信を得てから本格展開に進む方がリスクを抑えられます。

AiPHAでは、お客様の業務内容や課題をヒアリングした上で、最適な技術構成を提案し、短期間で効果検証が可能な試作版を開発いたします。

とくに、既存の業務フローに自然に組み込める設計や、明確な費用対効果の測定にこだわっており、稟議を通すための具体的なデータ取得も支援いたします。

また、生成AIやRAG技術を活用した高度なチャットボット開発にも対応しており、単純なFAQ対応を超えた知的な対話システムの構築が可能です。

ご相談は無料で承っておりますので、「自社にはどの開発方法が適しているか」「どの程度の効果が期待できるか」「予算はどの程度必要か」といった疑問をお気軽にお聞かせください

専門のエンジニアが、貴社の状況に合わせた最適な提案をいたします。

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監修者

佐伯 悠六のアバター 佐伯 悠六 株式会社AiPHA 代表

株式会社AiPHA代表取締役。
企業のAI導入から包括的なDX推進まで幅広くサポート。業務効率化と生産性向上に焦点を当てたAIソリューションを提供しております。企業ごとの文化や業務フローを深く理解し、ニーズに合わせたカスタマイズ性の高いシステム開発が得意。丁寧なヒアリングを基に最適なAIシステムを構築し、生成AI研修を通じて企業のデジタル変革を総合的に支援しております。

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