プラットフォームを立ち上げたいものの、何から始めれば良いのかわからず、お悩みではないでしょうか。もしかしたら、プラットフォーム構築が何を意味するのかも曖昧な状態かもしれません。新規事業や独立を目指す上で、プラットフォームの存在は必要不可欠です。
しかし、闇雲にプラットフォームを構築しても、KPI・KGIを達成できず、運用コストがかさむでしょう。そのような失敗を避けるために本記事ではプラットフォームの構築について解説します。
記事を読めば、プラットフォーム構築を実現するために必要な知識が身に尽きます。ぜひ最後までご覧ください。
また、当社「AiPHA（アイファ）」ではプラットフォームの構築について、目標の設定から開発までサポートいたします。お気軽にご相談ください。
プラットフォーム構築とは
プラットフォーム構築とは、異なるグループ（売り手と買い手など）が出会い、価値を交換できる場を作ることです。これは、ユーザー同士が互いに恩恵を受けられる環境を整えることを意味します。
プラットフォーム構築の例としては、以下のものがあります。
- ECプラットフォーム
- マッチングプラットフォーム
- AIプラットフォーム
など
プラットフォーム構築は単なるウェブサイトやアプリ開発とは異なり、複数の参加者が集い、価値を交換し合える「場」そのものを創り上げることといえます。
また、プラットフォームを提供している代表的な企業の例として、AmazonやFacebookなどが挙げられます。
| プラットフォームの種類 | 代表的な例 | 主な目的 |
|---|---|---|
| マーケットプレイス型 | Amazon 楽天市場 メルカリ | 商品やサービスを売りたい人と買いたい人をつなぎ、効率的な売買の場を提供することで、取引を促進し、顧客との接点を拡大する |
| マッチング型 | Uber Airbnb クラウドワークス | 特定のニーズを持つユーザー同士を効率的に結びつけ、効率的なサービス提供や需要と供給のマッチングを実現する |
| ソーシャルメディア型 | Facebook | ユーザー同士のコミュニケーションや情報発信・共有を促進し、コミュニティを形成・維持する |
| 開発プラットフォーム型 | iOS Android Windows | 開発者がアプリケーション等を開発・配布できる環境（基盤）を提供し、プラットフォームを中心としたエコシステムを構築する |
どの種類のプラットフォームでも共通していえることは、多くの参加者を集めることでネットワーク効果を生み出し、その価値を最大化します。
利用者にとっては、豊富な選択肢や取引や検索の利便性があり、提供者にとっては、高い集客力や新規顧客へのアプローチしやすさがメリットです。
プラットフォーム構築の成功は、ユーザー、開発者、出品者、それぞれにとって魅力的な価値を提供し続けることが大切といえます。
プラットフォーム構築の開発手順と4つの成功ポイント
プラットフォーム構築には正しい開発手順と成功に必要なポイントを押さえておく必要があります。
プラットフォーム構築を成功に導く以下4つのポイントについて解説します。
開発手順とポイントを理解し、プラットフォーム構築後も改善を繰り返すことが大切です。
1.明確な目的とKPI設定
プラットフォーム構築の成否は、プロジェクト開始前の目的設定の解像度に大きく左右されます。目的が曖昧だと方向性を見失い、開発後のブレにつながるでしょう。
プラットフォーム構築の目的を明確にすることで、利用者の課題に対する解決策や提供価値が具体化され、開発の方向性がブレずに、リソースや予算の無駄を防止できます。
また、KPI（企業が目標達成度を測る重要指標）を定めることで、数値をもとに施策を実行し、改善を繰り返すことも重要です。KPIを具体的に定めるには、方向性を明確にし、成果の測定と改善をどのように行うか定める必要があります。
| 項目（KPI設定・目的設定の重要性） | 詳細 |
|---|---|
| 方向性の決定 | 誰のどんな課題を解決するか、最終目標が明確でないと、開発の方向性が定まらず、意思決定が場当たり的になる。明確な目的はプロジェクトの羅針盤となる |
| リソースの最適化 | 目的が定まれば、不要な機能開発等を避け、限られたリソース（人、時間、費用）を最も効果的な活動に集中できる |
| チームの結束とモチベーション | 共通の目的意識はチームの一体感を醸成し、メンバーのモチベーションを高め、主体的な貢献意欲を引き出す |
| 成果の測定と改善 | 測定結果に基づき、ユーザー登録数、アクティブ率、取引成立数、顧客満足度や機能を修正・改善していく |
| ステークホルダーへの説明責任 | 目的とKPIは、経営層や出資者などに対して、プロジェクトの意義、進捗、成果を具体的に説明するための根拠となる |
KPIが曖昧だと成功・失敗の判断すら曖昧になる恐れがあります。KPIはビジネスモデルや目的によって異なるため、自社にあった数値目標を設定し、効果測定と改善を繰り返し行いましょう。
2.ユーザー設計（UX/UI・利用導線）
どれほど高機能なプラットフォームであっても、ユーザーにとって使いにくければ意味がありません。ユーザーエクスペリエンス（UX）とユーザーインターフェース（UI）の設計は、利用者が継続的な利用を促す大切な要素です。
UI/UXが不十分な例として、使い方が複雑すぎる、目的の画面に辿りつかない、サーバーが重いなどが挙げられます。設計が悪いプラットフォームは使いにくさだけでなく、トラブルやクレーム、悪評につながる恐れがあります。
UI/UX・利用導線を構築するには、ペルソナを明確にし、離脱率やユーザーの意見や口コミを汲み取り、改善を繰り返すことが重要です。プロトタイプを用いたユーザーテストを繰り返し、フィードバックを反映させることで、ユーザー中心の設計を実現しましょう。
3.テスト・検証・ローンチ
市場投入前には、開発が完了したプラットフォームに対して、徹底的なテストと検証を実施する必要があります。テスト検証を行わずにプラットフォームを実装してしまうと想定外のバグや不具合への対応で予算、リソースを無駄にする可能性があります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| テストの重要性 | 想定通りの機能性、パフォーマンス、セキュリティレベルが確保されているかを確認する |
| 主なテストの種類 | 機能テスト（仕様通りか）、パフォーマンステスト（負荷耐性）、セキュリティテスト（脆弱性）、ユーザビリティテスト（使いやすさ）など多角的な検証を行う |
| 開発アプローチ（MVP） | 必要最小限の価値を提供する製品（MVP）で早期に市場投入し、実際のユーザーフィードバックを得て改善を繰り返す |
想定外の事態を防止するために機能性、パフォーマンス、セキュリティレベルが確保されているかを確認し、課題を洗い出し、改善を繰り返していくことが大切です。
4.運用・保守・改善
プラットフォームはローンチ後も未完成の状態です。リリース後もプラットフォームがユーザーに価値を提供し続けるためには、サーバーやネットワークが安定稼働しつつ、大きなトラブルやクレームがないことが大前提です。
運用・保守には、サーバーやデータベースの監視、定期的なバックアップ、セキュリティパッチの適用、障害発生時の迅速な対応などが含まれます。プラットフォームを運用する中でもっとも大切なのが改善です。
ユーザーからのフィードバック、アクセスログや利用状況のデータ分析に基づき、新たな機能追加や既存機能の改修、UI/UXの最適化などを継続的に行い、サービスの向上を目指します。データに基づいた仮説検証を繰り返し、プラットフォームを磨き上げていきましょう。
以下の記事では、システムの老朽化がもたらすデメリットや対策について詳しく解説しています。
プラットフォーム構築でよくある失敗3選
プラットフォーム構築でよくある失敗は以下の3つです。
プラットフォーム構築は大きな可能性を秘めている一方、多くのプロジェクトが道半ばで頓挫、期待した成果を出せずに事業撤退するケースがあります。失敗すれば、これまで投じた予算や人材リソースが無駄になるだけでなく、企業としての信頼を損なう可能性もあります。
プラットフォームを構築の失敗による損失を避けるために、理解しておくべき「よくある失敗」について解説します。
1.明確な目的・戦略の欠如と市場ニーズの軽視
技術的、革新的なプラットフォームを構築しても、その存在がターゲットユーザーに認知されず、利用されなければ意味がありません。理想だけが先行してしまい、市場選定やニーズに大きな乖離が生まれるケースもあります。
また、解決すべき課題が不明確であったりマネタイズポイントが曖昧だったりすると、リリース後に維持コストが支払えず、プラットフォームの撤退につながりかねません。プラットフォームビジネスは、市場ニーズに合った明確な価値の提供が大切です。
構築に着手する前に、解決すべき課題やターゲットユーザー、ユーザー獲得経路、提供価値、ビジネスモデルを明確に定義し、数値に基づいた検証と改善が不可欠です。
2.スケーラビリティ（拡張性）の低い設計
プラットフォームが軌道に乗れば、ユーザー数やデータ量が爆発的に増加する可能性があります。
初期コストを抑えすぎたり、小規模利用だけを想定した設計にすると、ユーザー増加やデータ拡大に伴ってシステムが耐えきれず、性能が大きく低下する恐れがあります。また、機能低下はサービスの成約率にも大きく影響するため将来的に大きな改修が必要になるでしょう。
ユーザー数増加によってスケーラビリティの低い設計が浮き彫りになることで、新たな機能の追加や外部サービスとの連携に困難が生じる可能性があります。その結果、プラットフォームのパフォーマンスが大きく下がり、サービスの利用率や成約率が減少し、運用を続けることが困難になります。
プラットフォームを長期的に運用するには、将来の成長を見据えたアーキテクチャ設計、クラウドの活用や負荷分散の設計を前提とした構築が求められます。
3.ユーザー視点が欠けたUI/UX設計
高機能で技術的に優れたプラットフォームであっても、ユーザーにとって使いにくければ、その価値は半減し、ユーザーは定着しません。むしろクレームや悪評が付き、新規利用者の獲得が難しくなるでしょう。
開発者目線や提供者側の論理が優先され、ユーザー視点が欠けたUI/UX設計は、プラットフォーム失敗の典型的な例です。失敗を避けるためにも初期段階から、将来の拡張を見据えた柔軟でスケーラブルなアーキテクチャを設計しておくことが大切です。
プラットフォーム構築に必要な役割とスキル
プラットフォーム構築は、単一のスキルだけで完遂できるものではありません。多様な専門知識と経験を結集させるチームでの取り組みが基本です。企画・構想段階から設計、開発、テスト、そして運用・改善に至るまで、各フェーズで求められる役割とスキルセットは多岐にわたります。
プラットフォーム構築に必要な役割とスキルは以下の3つです。
それぞれの役割とスキルについて解説します。
エンジニアリングスキル
プラットフォームの根幹を成すシステムを実際に設計し、開発・実装するのがエンジニアの役割です。
主な役割としては、プラットフォームのアーキテクチャ設計やバックエンド・フロントエンドの開発・実装、運用・修繕など多岐に渡ります。加えて、システムの安定稼働とユーザーの信頼確保に不可欠なセキュリティに関する知識と対策スキルも極めて重要です。
エンジニアには技術的なスキルのほかに、複雑な要件を整理し、設計する論理的思考力や想定外のバグなどに対しての問題解決能力が求められます。また、PM（プロジェクトマネージャー）やUI/UXデザイナーと円滑に連携する必要があります。
UI/UXデザインスキル
ユーザーにとって魅力的で、直感的かつ快適に利用できるプラットフォーム体験を創造するのがUI/UXデザイナーの役割です。プラットフォームのデザインを美しくするだけでなく、ターゲットユーザーのニーズや行動特性を深く理解し、ペルソナ設計・カスタマージャーニー分析・プロトタイプ作成などを行い、ビジュアルデザインに落とし込みます。
UI/UXデザイナーはデザインスキルだけでなく、PMやエンジニア、営業など他職種との連携が多いため、相手にわかりやすく伝える力や、柔軟性・適応力が必要です。またデザインによって利用率や成約率が大きく変わるため、論理的思考も試されます。
プロジェクトマネジメントスキル
PM（プロジェクトマネージャー）はプラットフォーム構築におけるプロジェクトや進行状況などを統括する舵取り役です。ビジネスモデルを理解し、具体的な要件定義に落とし込み、開発すべき機能の範囲（スコープ）を明確にします。
PMは必要に応じてコストの見積もりや、必要なリソース（人員、予算など）を確保・管理します。また開発中に発生する課題やリスクを早期に発見・対処することも、PMの重要な役割のひとつです。
また、開発チーム、デザイナー、経営層、場合によっては外部パートナーなど、多様なステークホルダーとの円滑なコミュニケーションを図り、認識齟齬を防ぎながらプロジェクトを推進していきます。
ジェネラリストとして幅広いスキルが求められる一方で、リーダーシップや予期せぬ事態にも冷静に対応できる精神的な強さも必要とされる役割です。
プラットフォームを構築しビジネスを拡大させよう
プラットフォームは単なるWebサービスではなく、ユーザーやサービスをつなぎ価値を生み出す場所といえます。プラットフォーム構築は、単なるシステム開発プロジェクトではありません。
新たな顧客価値を創造し、長く愛用されるサービスを提供できてこそ、ビジネスの拡大につながります。プラットフォームの構築には正しい手順とポイントが存在し、それらを理解しながらプロジェクトを進めていくことが大切です。
当社「AiPHA（アイファ）」では、お客様に寄り添い目的やKPIのヒアリングを行い、目標に合った構築を一貫してサポートいたします。
プラットフォームを構築し終わりではなく、お客様のビジネスモデルやビジョンを深く理解し、中長期的な視点で戦略立案をお手伝いします。
プラットフォームの構築を検討されている方は、ぜひAiPHAにご相談ください。
